読書感想文 アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫) 著者 : 伊坂幸太郎
読書感想文 アイネクライネナハトムジーク 伊坂幸太郎
久々に小説を読み終えた。
いつだったか、母からの仕送り品の中に入っていた小説。
僕はあまり小説を読むほうではないが、なぜか伊坂幸太郎だけは自分から進んで読んでいた。高校時代か大学時代か、少なくとも17~19の歳の時に、陽気なギャングは世界を回す、で伊坂ワールドに魅了された。
鮮やかな伏線回収が読んでいて気持ちがよかった。個性の強い登場人物と、彼らを中心にして起こる様々な問題が僕の前に提示され、一瞬の違和感みたいなものを感じるタイミングから、いままでの伏線をすべて回収しつつ解決へと向かっていく。
するすると複雑に絡み合った紐が手品のようにほどけていくような感覚は、読んでいてとても気持ちが良くて、その味を知ってしまったぼくは伊坂幸太郎のファンになった。
電車通学をしなくなり、読書をする時間はめっきりなくなった。
会社ではビジネス本や勉強のための本を読んでいる。
たまたま母親が送ってくれて、ずっと枕元にあったから。
休日に出かけるときにはなんとなくカバンに入れて、
気が向いたらなんとなく電車で読んでいた。
久々に伊坂幸太郎を読む。
久々に読んだからこそ、自分で気づいていなかった魅力を再発見した。
伊坂幸太郎の物語には、ガサツで自信満々で愛に溢れる男が登場する。
今回の話だと、織田一真である。
一見とても幼稚な人物のように見えるが、伝え方が不器用なだけで、
すごく魅力的な人物だ。
「俺へ断りなしに彼女を作ったのか」みたいな、本気なんだか冗談なんだかわからない、でもとにかく佐野さんへの愛があふれるセリフを普通に言えてしまう彼の人間性が好きだ。
彼の色々な小説に、名前は変われど同じように不器用で愛と自信に溢れた男というのが登場する。陽気なギャングでは、一番よくしゃべるあいつだ。
僕は今まで気づいていなかったが、伊坂幸太郎ワールドにいる彼が活躍する姿にわくわくしながら、小説を読んでいたのだ。
彼から出てくるセリフや言い回しが好きで、彼のまっすぐな言動が好きだった。
時間を経て、改めて伊坂幸太郎の好きなところに気づくことができた。
またもう一冊くらい読みたいな。